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二流小説家 【デイビッド・ゴードン】 [本]

年末に読んだ本を紹介します。
二流01.jpg
二流小説家(デイビッド・ゴードン)

史上初、三冠達成

このミステリーがすごい
週刊文春ミステリーベスト10
ミステリが読みたい

海外部門第1位

本の帯に書いてあったので、思わず買っちゃいました。

感想です。
海外物は、翻訳によって当たり外れがあるなあというのが、感想です。
自分にとって、その翻訳が合うかどうか。

この本の場合は、ボクにとっては普段使わない表現が多数登場。
ちょっと感情移入しづらかったです。

例えば、こんな感じです。
「憤怒の形相」203ページ
「虚仮にされようとしている」205ページ
「憤懣を抱え」211ページ
「奇怪な曼陀羅」214ページ
「繻子織のクッション」295ページ

字面では、想像できませんね。
特に205ページに登場した「虚仮」なんて、ふりがなが無かったので読み方がわからん。
「キョケ」かな・・・
インターネットで調べたら「コケ」でした。
まあ「コケにする」とは使うけど、漢字で書くと「虚仮」なんですね。

肝心の内容も、史上初の三冠ミステリーとしては、筋が平凡。
犯人の「意外性」も、無理矢理な感じ。
良い点と言えば、主人公の「二流小説家」が書いたSFやヴァンパイア小説が、数か所挿入されますが、その部分はいい味出ています。

結論:三冠小説という先入観で読むと失望します。

二流小説家 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

二流小説家 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

  • 作者: デイヴィッド・ゴードン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2011/03/10
  • メディア: 新書





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県庁おもてなし課 【有川浩】 [本]

この本、結構流行っているらしいです。
おもてなし01.jpg
本のキャッチコピーは、「ふるさとに恋する観光小説」
内容は、高知県庁おもてなし課が、観光企画の立案、実施に、右往左往という話です。
高知県庁おもてなし課は実在しますが、ドキュメンタリーではありません。
おもてなし課をモチーフにしたフィクションです。

感想です。

非常に読みやすい小説です。
おもしろいです。
作者有川浩(高知県出身)の高知県に対する愛が感じられる小説です。

作者が高知県をよくしていきたいと思っているため、
作者がわざと「エンターテイメントに徹しきらなかった」小説だと思いました。
小説のキャッチコピーにある「ふるさとに恋する」は、本質を表していると思います。

物語の3分の1ぐらいまでは、
「民間感覚」と「県庁ルール」の違いに戸惑うおもてなし課の主人公たちが、おもしろく描かれています。
テンポ良く物語が、進んで行きます。

感心したのは、作者は、ありがちな「県庁批判」に偏ることなく、ある程度「県庁のしがらみ」も理解を示しながら、物語を進行させているところです。
そうすることによって、あまりギスギスした内容にならず、郷土愛を感ずる小説に仕上がっています。

しかし、物語中盤の企画立案に話が移ると、わりと妥当な案が提示されるんですよね。
フィクションなんだから、もっと荒唐無稽案でも良かったのかなと思います。
物語のスピード感が鈍った感じがしました。
小説に描かれている「高知県まるごとレジャーランド化」案は、高知県庁がその気になってプロジェクトを組めば、やれんこともないなあという印象。
もちろん、「やれんこともないなあ」と読み手を思わせたのは、作者有川浩の筆力かもしれませんがね。
物語の冒頭に出てくる「パンダ誘致論」(もちろんフィクションです)が、夢がある企画だっただけに、ちょっと惜しいなあと思いました。
作者の郷土愛が、荒唐無稽案ではなく、実現できそうな案を提示させたのでしょうね。

中盤から終盤にかけて、恋愛小説の要素が色濃くなります。
個人的にはそんな要素いらんだろの気分。
カタブツの県庁組織
その中で、「民間意識」の「おもてなし課」が突っ走るという内容で全編通しても良かったかなあと思います。
ボクは、恋愛小説苦手なんですよね。
恋愛が苦手なのかもしれませんがね~。

巻末に、作者と「実在のおもてなし課」の人らとの鼎談が掲載されています。
これは蛇足かな。
手前味噌な感じで、どうかなと思いました。

なんかいろいろ書きましたが、不満部分を差し引いても、結構楽しめる小説です。
早々にドラマか映画になると思います。
そうなる前に読んでおきましょう。

県庁おもてなし課

県庁おもてなし課

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/03/29
  • メディア: 単行本





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葉桜の季節に君を想うということ 【歌野晶午】 [本]

先日、歌野晶午の「密室殺人ゲーム王手飛車取り」を読みました。
【関連記事:密室殺人ゲーム王手飛車取り】
読みやすかったので、他の作品も読みたくなりました。
葉桜01.JPG
そこで、今回読みましたのは「葉桜の季節に君を想うということ」です。

この作品は、チェックもれでした。

このミステリーがすごい! 第1位
本格ミステリベスト10  第1位
週刊文春 推理小説ベスト10 第2位

そうそうたる成績です。
こんな上位の作品を、今まで見過ごしていました。
早速読まなければ・・・


感想です。
非常に読みやすく、テンポもいいです。
最後にドンデン返しがあります。

最後まで読むと、いろいろな伏線が、糸を紡ぐように繋がります。
最後の繋がりを例えるなら、映画のユージュアル・サスペクツのようです。
ああ、この例えは、「葉桜の・・・」と「ユージュアル・・・」両方観てないと、わからんけどね。

この作品、叙述トリックです。
ネタバレしちゃうと、ほんと台無しなので、ここで語るのはやめておきます。
実際に作品を読んでみて、騙されてみてください。

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

  • 作者: 歌野 晶午
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 文庫





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密室殺人ゲーム王手飛車取り 【歌野晶午】 [本]

歌野晶午の作品を初めて読みました。
王手01.JPG
内容(「BOOK」データベースより)
“頭狂人”“044APD”“aXe(アクス)”“ザンギャ君”“伴道全教授”。奇妙なニックネームの5人が、ネット上で殺人推理ゲームの出題をしあう。ただし、ここで語られる殺人はすべて、出題者の手で実行ずみの現実に起きた殺人なのである…。リアル殺人ゲームの行き着く先は!?歌野本格の粋を心して堪能せよ。

内容は前述のブックレヴューのとおり。
この小説の設定に抵抗感が無い人なら、読んでおもしろいと思います。
文章も読みやすく、また会話が多いため、サクサク読み進めます。
伏線もいくつか張られていますが、基本は一本筋で読みやすいです。
でも、最後にあっと驚く展開になります。

ネタバレなので、これ以上は書きません。

歌野晶午作品は今までノーチェックでした。
まだまだ、知らない作家さん、いっぱいいますねえ。
今後もおもしろそうなものを読んでみようと思います。

密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社文庫)

密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社文庫)

  • 作者: 歌野 晶午
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/01/15
  • メディア: 文庫





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群雲、関ヶ原へ 【岳宏一郎】 [本]

最近、「関ヶ原の戦い」関連の書籍を続けて読んでいます。
読むだけじゃなく、実際に陣跡に行ったりもしちゃってますね~。
なんか、イッパシの関ヶ原フリークです。
【関連記事:書籍紹介   
【関連記事:関ヶ原陣跡めぐり 
↑過去記事のリンクです、興味がある人は数字をクリックしてください。

「関ヶ原の戦い」関係で、なんか面白い本がないかなとネットで検索中に、この本を見つけました。
群雲01.JPG
「群雲、関ヶ原へ」 岳宏一郎
上下巻です。
名古屋の本屋さんで、上巻ゲット。
読み出したら、面白かったので、下巻も購入。
と、思ったら、廻った本屋さんには下巻無し。
これじゃ、蛇の生殺しだよ~。
で、今回もAmazonで購入しました。

いつも、ブログで本の紹介するときに、Amazonのリンクを貼っています。
でも実際に自分が買うときは、直接本屋さんで買っているんです。
ボクは、現物を目で見てから、買いたい派なんですよね。
他人にAmazonを勧めておきながら、なんという所業でしょうかね。
しかし、今回みたいに、身近な本屋にない本などは、ネットで買うのは便利ですね。

話が大きく逸れました。


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関ヶ原 島津退き口 【桐野作人】 [本]

先日、「島津奔る」を紹介しました。
【関連記事:「島津奔る」(池宮彰一郎) 2011.11.08】
今回も、関ヶ原島津関連の書籍の紹介です。
「島津奔る」を読みまして、関ヶ原の島津家の行動に、さらに興味を持ちました。
何か他に、関ヶ原での島津関係の本がないかなと探しました。

本屋の検索機で探してみましたが、在庫切ればかりです。
そこで、書名をメモってネットで探すことにしました。
で、Amazonで探して、買った本がこれです。
島津01.jpg
「関ヶ原 島津退き口」です。

これは、小説ではなく、過去資料の解説本みたいな感じです。

読後の感想です。

「島津奔る」の副読本のような感じでした。
関ヶ原における島津家の資料を、やさしく解説してありました。
このような資料を基に、「島津奔る」は書かれたんだな。
と得心しました。
ある意味、小説家って凄いなとも思いました。
素材の調理法によって、面白くもなり、つまらなくもなるんですものね。

それはともかく「関ヶ原 島津退き口」本書の評価です。
「島津奔る」などを事前に読むなどして、ある程度大筋がわかっている人、
もしくは、島津フリークな人には、楽しめると思います。
なにも予備知識が無い人には、ちょっとつらいかな。
小説じゃなく、資料解説ですからね。

ボクは楽しめましたよ。
「関ヶ原の戦い」好きですからね~。
また関ヶ原の戦いの陣跡に行ってみたくなったな。

関ヶ原島津退き口―敵中突破三〇〇里 (学研新書)

関ヶ原島津退き口―敵中突破三〇〇里 (学研新書)

  • 作者: 桐野 作人
  • 出版社/メーカー: 学研パブリッシング
  • 発売日: 2010/05
  • メディア: 新書





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島津奔る 【池宮彰一郎】 [本]

先日、司馬遼太郎の関ヶ原を読みました。
【関連記事:「関ヶ原」(司馬遼太郎) 2011.10.18】

その時疑問に思ったことがありました。

なぜ最強を誇る島津隊は、1000人程度の少数部隊だったのか。

なぜ、戦わず、最後に敵中突破をはかったのか。

それらの疑問を解消するために、島津家を扱った本を探しました。

案外、無いんです。

ようやく見つけたのが、今回紹介するこの本です。

島津奔る(池宮彰一郎)です。
島津01.JPG

実はこの本、絶版で、もう新刊は販売されていません。

なぜ絶版なのか。

盗作疑惑のため絶版なのです。

盗作の元ネタは、前回紹介した「関ヶ原」です。

ボクが読み比べた感じでは、話のスジが同じなのは、歴史上の事実なのでしょうがないと思います。

ただ、表現方法が酷似している部分があるんですよね。

司馬遼太郎の関ヶ原を読んだ時に、普段こんな表現を使わないなと思った部分。
今回島津奔るを読んで、同じ表現方法がありました。
う~ん、偶然の一致と言えばそれまでなんですけど、盗作疑惑が起きるのもわかります。

ここからは、本の感想です。
朝鮮出兵から描かれています。
秀吉の朝鮮出兵を描いた小説はあまりないので、小説の前半から楽しめます。
後半は関ヶ原の戦いが描かれているのですが、これも、島津隊のお家事情がよくわかり良かったです。
また、島津家の重臣面々も個性派で、物語がいきいきします。
島津家ファンには一読をお勧めします。

ただ、「関ヶ原」のときも書きましたが、この「島津奔る」も無用のエッチシーンがあります。
正直「関ヶ原」よりも、さらに無用だと思いました。
やっぱりお色気シーンっているんでしょうかね。

島津奔る〈上〉 (新潮文庫)

島津奔る〈上〉 (新潮文庫)

  • 作者: 池宮 彰一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2001/05
  • メディア: 文庫





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関ヶ原 【司馬遼太郎】 [本]

先日、関ヶ原の陣跡を観てまわり、感化されました。
【関連記事:天下分け目の関ヶ原 2011.09.11】

今回紹介しますのは、「関ヶ原」(司馬遼太郎)です。

司馬遼太郎はいくつか読んだけど、「関ヶ原」は読んだことないなと思い、読んでみました。
seki01.JPG

感想です。

関ヶ原の戦いを描いた小説の定番という感じです。

いろんな武将が、所狭しと活躍するのですが、
どの武将も、ボクの思い描いた先入観と、ぴったり一致します。
それはなぜか。

ようするに、司馬遼太郎の小説が有名すぎて、武将のキャラクターが、
そのように定着してしまっているということなんでしょうねぇ。

なので、しっくり読めました。

上・中・下と3冊ですが、上巻には、不必要と思われる「濡れ場」が何か所かあります。
下巻になると、ありません。
司馬遼太郎といえども、本を売るためには、最初のうちは、お色気シーンも必要だったんだなあと思っちゃいました。

関ヶ原の戦いを小説で読みたい人には、お勧めします。

関ヶ原〈上〉 (新潮文庫)

関ヶ原〈上〉 (新潮文庫)

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1974/06
  • メディア: 文庫





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釈迦 【ひろさちや】 [本]

ひさびさに、本の紹介です。

先日、棟方志功展を観に行ってきました。
【関連記事:棟方志功展にて、原発を想う 2011.07.19】
その中で、一番興味を持ったのが『二菩薩釈迦十大弟子』という作品でした。

そのときに、思いました。

そもそも「釈迦十大弟子」ってなんだ。

よくわかりません。

なので、今回、それを知るために読みました。

「釈迦(ひろさちや)春秋社」
syaka01.JPG

ひろさちや氏の本は、今まで数冊読んだことがあります。
宗教のことをわかりやすく書いて、読みやすいです。
しかしながら。
今回の「釈迦」は、ひろさちや氏の筆を持ってしても、ボクには難しかったです。
ボク自身、釈迦について、何も知らなさすぎというのが原因かな。
もしくは、釈迦が偉大すぎるのかもしれません。

その中でも、ボクが感銘をうけた部分を披露します。



214頁引用

われわれは、その思うがままにならない事物を思うがままにしようとする。
病気になりたくないと思い、病気になればなったで、その病気を治したいと思う。
思うがままにならないことを思うがままにしようとすれば、そのときそこに「苦」が生じる。
(中略)
― 苦にするな! -
(中略)
苦にしなければ、ちっとも悩む必要はないのである。



ちなみに、四苦八苦の「四苦」とは、
1 生まれること
2 老いること
3 病むこと
4 死ぬこと
だそうです。

釈迦の教えに従って、苦にしない人生を、送りたいです。

釈迦

釈迦

  • 作者: ひろ さちや
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2011/01
  • メディア: 単行本





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麒麟の翼 加賀恭一郎シリーズ [本]

東野圭吾の加賀恭一郎シリーズの第9作。
麒麟の翼01.JPG
本の帯には、東野圭吾のコメントが載っています。

『帯には、「加賀シリーズ最高傑作」と謳っていることだろうと思います。
その看板に偽りなし、と作者からも一言添えておきます。- 東野圭吾』

マジですか。
そりゃ期待しちゃいますね。
というわけで、早速読んでみました。

まず、形式ですが、
加賀シリーズ第7作「赤い指」は、犯人側視点で描かれていました。
加賀シリーズ第8作「新参者」は、聞き込みされる側の視点でした。
今回の「麒麟の翼」は、オーソドックスに刑事側の視点で描かれています。

捜査をするのは、加賀&松宮コンビです。
おおよそ、松宮の視点で描かれています。
シャーロックホームズで言えば、ワトソンの役回り。

物語として、たいへん読みやすいです。
ただ、「加賀シリーズ最高傑作」かと聞かれると疑問符。
別に、本作がつまらないわけではありません。
おもしろいです。
が、「最高」とまでは、どうかな。
やはり、「新参者」やドラマ版があっての、「麒麟の翼」という感じですね。

続いて感想です。

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タグ:東野圭吾
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